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辻出紀子さんの写真には、カメラを越えて人間への暖かい熱情が感じられます。ビルマ(ミャンマー)の国境地帯の難民キャンプで彼女はきっと、私たち日本人の役割について考えたことと思います。
写真から浮かび上がってくる彼女の暖かいまなざし。しかし、この会場に紀子さんはいない。日本という国がどんな国なのか、日常からは感じられないもうひとつの現実があります。恐ろしいことだと思います。
私たちに出来ることは、1日も早く紀子さんを探し出すことです。作品に写っているアジアの人々から、逆に私たちが見据えられています。IT革命や高度情報化社会と浮かれながら、2年半も行方不明の手がかりがつかめないとは。この写真展がきっかけとなって、眼と耳と口による人間的な情報が多く集まり、1日も早く紀子さんがアジアと日本の懸け橋になる活動を再開されることを心から願います。
【プロフィール】
(畑 祥雄:はた・よしお)1950年、京都府生まれ。写真家・ディレクター。成安造形大学教授。アジア太平洋人権情報センター企画運営委員。インターメディウム研究所(IMI)「大学院」講座ゼネラルマネジャー。芸術とヘルスケア学会副代表。写真集に「背番号のない青春」(ブレーンセンター、1980)、「西風のコロンブスたち」(同、1985)、「HANAKO」(同、1990)、「アート・マネージメントの現場/スーパスタッフ」(ペヨトル工房、1995、共著)など。 |
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